この研究会について
生命活動においてリズム現象は多様かつ重要な役割を果たしています。リズミックな細胞周期は細胞が継続的に分裂し、生物が安定して増殖するために必要です。生物時計は、生物が昼夜や季節などの多様な環境周期に適応するために重要だと考えられています。また、生物の形づくりや細胞分化にもリズム現象が本質的な機能を果たしています。
このように、リズムは様々な階層で様々な働きを担っており、リズムの構成要素は当然異なります。しかし、構成要素がどんなに違っていても「リズム現象」である以上、何らかの共通点があり、時には振動のメカニズムが同一であることもあるでしょう。
ところが、従来の研究ではリズムを様々な構成要素の決定を目指す場合が多く、異なる現象の間の共通点の解明を目指す研究は多くありません。要素決定を中心とするアプローチは、生物の多様性に注目し生命科学に厚みを持たせる『緯糸』のようなものです。これに対して、リズム現象の共通点を中心とする研究アプローチは、生物の普遍性に注目し生命科学の見通しを良くする、いわば『経糸』のようなものであると我々は考えています。
特定分野の研究者のみが集まる学会とは異なり、本研究会には生物リズム現象を共通言語とする様々な分野の若手研究者が一同に集います。また、リズム現象を中心として、生命における非線形・非平衡現象の研究をされている様々な講師の方をお呼びします。本研究会では、多数の参加者や講師の方々と共に(2020年はオンライン開催)親交を深め、また各自の問題を様々な視点から議論できるような場を提供します。
Q. 他の若手の会との違いは何ですか?
この会では、異分野の研究者間でのコミュニケーションを重要視しています。そのため「フラッシュトーク」と「グループディスカッション」という二つのイベントを用意しております。フラッシュトークでは、全ての参加者に登壇して頂き、1分程度で研究内容を発表して頂きます。そして、参加者が全員の研究内容を把握した状態で、少人数のグループに分かれてグループディスカッションを行います。フラッシュトークはあくまでも研究の紹介が目的ですが、グループディスカッションでは研究の紹介だけでなく、各自の抱えている問題の共有、そして解決を目指します。異なる分野に所属しながら、生物リズムという共通言語を持つ参加者とディスカッションする事により、異なる視点からの問題解決方法や、今まで誰も気づかなかったような新しい問題を見出す事を目指しています。
Q. この会の対象はどのような人ですか?
リズムは様々な生命活動に遍在する現象であり、その研究対象や手法は多岐にわたります。そのため、本研究会の対象も特定の現象や特定の分野の研究者に限定しません。実際に過去の研究会には、分子・細胞生物学や生理学はもちろんのこと、生態学や理論物理学まで、多岐に渡る分野の方々に参加していただいております(参照:過去の研究会)。
また、この研究会は『若手研究者の集い』と銘打っていますが、若手の定義を年齢から定める事は致しません。従来の分野に捕われることなく、生物リズム研究の新境地を切り開いていこうという強い思いさえあれば、年齢に関わらず『若手研究者』と呼べると考えています。ですので、実際に日々手を動かしてデータを得ている大学院生やポスドクだけでなく、独立を考え将来に悩んでいる教員や、PIとして自立した研究活動をスタートしている方の参加もお待ちしております。